原文：http://godisimaginary.com/i14.htm

　今日、誰かがあなたのところに来て「私は神である」と言ったら、あなたはどうするだろう。ああそうだ、すぐに証拠を要求するだろう。もちろんそうするはずだ。そして怪しげな証拠では、あなたは納得しないだろう。あなたは、本物の、しっかりした、具体的な証拠を要求するはずだ。

　正常な人間なら、自分が神だと主張する者には、非常に強固な証拠を求めるだろう。

　この原則は、イエスにも適用されるべきではないだろうか。イエスは自分が神だと主張した人間であった（訳注：イエス本人が、自分は神だと言ったという証拠はない）。もしイエスが神であれば、彼は本物の、誰にもまねできないような方法でそれを証明すべきである。もし彼が自分が神であることを証明できないのなら、彼は明らかに神ではない。

　キリスト教徒は言うだろう「イエスはそれを証明した。彼が起こした奇跡についての聖書の記述を見よ！　彼は病人を治した。彼は水をワインに変えた。そのことはイエスが主であることを証明している」。これは道理にかなった主張だろうか。例えば今日、誰かがあなたのところに来て、「私は神である。そして私が神であることを、病人を治し、水をワインに変えることによって証明しよう」と言ったとする。あなたは何と言うだろう。正直なところ、あなたはこの人物を信用しないだろう。なぜなら

１　誰もが病人を「治せる」信仰治療師を知っている。そして私たちは、そのような「治療」がいかさまだと知っている。もしこの種の治療で治るなら、医者も病院も処方薬も必要ないのである。

２　水をワインに変える…　デビッド・カッパーフィールドにあこがれているＢ級の奇術師が、ナイトクラブでやるような行為ではないだろうか。水がワインに変わったように見せかけるような演出をやる方法は、数ダース存在する。正常な人間なら、手品を誰かが神である証拠として受け入れたりしない。

３　これらの奇跡で、今日の科学的な検査を受けたものはない。イエスの奇跡で、科学者が研究できるような、具体的な証拠を残したものはないからだ。

　単純なことだ。今日の誰かが自分は神であるといっても、その証拠が信仰療法と手品では信用されないのである。絶対に。にもかかわらず、数十億人の人々がイエスの信仰療法と手品は、彼が神である証拠だと主張しているのだ。

　イエスが本当に神であるとしよう。彼は何をすることで、そのことを証明しようとするだろう。イエスは、聖書に出てくる彼の最も有名な言葉の内容を、実行するところから始めるかもしれない。マタイ福音書１７：２０でイエスはこう言っている。

よく言い聞かせておくが、もしカラシ種一粒ほどの信仰があるなら、この山に向かって「ここからあそこに移れ」と言えば、移るであろう。このように、あなたがたにできないことは何もないであろう。

　イエスは自分が神であることを証明するために、山を動かすだろう。それは神である彼にとってはとても簡単なことなのだから。そしてイエスは、自分が何者であるかを説明するため、本を書き残すかもしれない。イエスが書いた本の最初のページは、このようなものになるだろう。

　私の名はイエス、神である。私が神であることを疑う人も多くいるだろうから、そのことを証明するところから始めよう。シナイ山を見よ。全ての人が、今日までシナイ山がこの近くにあったことを知っている。この山は、私の父である神が、モーゼに十戒を与えた場所である。

　シナイ山は今日の朝消えた。その場所に残ったのは、広さ４スクエアの完全に真っ平らで光沢のある岩の基部である。今から何百年もたった後、人々はシナイ山がニュージャージー州ニューアークと呼ばれることになる場所に、そびえているのを発見するだろう。山を発掘調査した科学者は、山の底が完全に平坦でぴかぴかであることに気づくだろう。そしてニュージャージ－州のその山の底は、もともとシナイ山があった場所の平坦な岩の基部と一致することに気づくだろう。科学者は岩に含まれる結晶を顕微鏡で調べ、ニュージャージー州の山の岩とここにある平地の岩が一致することを知るだろう。私は何度も、信仰を持つ者は山を動かすこともできると言った。私はシナイ山を動かすことで、それがいかに簡単なことかを示し、私が神であることを証明したのだ。

　これだけでは不十分かもしれないので、次の証拠を出そう。円のある点から他の点まで、中心を通っていくときの距離を、直径と呼ぶことにしよう。また、円を一周した長さを円周と呼ぶことにしよう。円周を直径で割ると、一つの数字が現れる。それはΠと呼ばれ、その最初の６桁は３．１４１５９である。Πは無理数であり、無限に続く繰り返しのない数字である。

　いつかコンピューターと呼ばれる機械が、Πを膨大な桁まで計算する時代が来るだろう。Πを百万×一兆桁まで計算した場合、９８２３４５６４５１２３７８２３４９２２７８５８３４９５０８３４９８７４５という数字の列が見つかるだろう。

　さて、道理をわきまえた人間には、私が証明できる形で山を動かしたこと、百万×一兆桁目のΠの数字の列を予見していたことから、私が神であることが分かったと思う。私が人類の創造者、そして宇宙の創造者として、人類に伝えたいことは…

　このような本があれば、非常に素晴らしいと思わないだろうか。そして、シナイ山が本当に動いたのなら、イエスに対する疑問は全て氷解する。私たち全員が、イエスは神であると信じるだろう。そうしないことなどあり得るだろうか。この本の続きを想像してほしい。確実に、全人類が畏敬の念を覚えるような本になるはずだ。

　なぜイエスはそうしなかったのだろう。神はすでに聖書と呼ばれる本を書いたとされている。そしてこの本によると、神は全てのことができるとされている。神は紅海を二つに分け、十戒を岩に刻み、わざわざ自らを受肉させたのだ。ならばなぜイエスは、私たちのために本を書き、実質的ではっきりした証拠を残してくれなかったのだろう。

　正常で合理的な人間にとっては、理由は明らかだ。神は空想なのだ。具体的な証拠がない限り、私たちは今日の誰かが神であると信じたりしない。イエスは２０００年前の人間であるため、この基準に合格しない。イエスは、そもそも実在の人物であるとしてだが、あなたや私と同じく人間に過ぎなかった。聖書にでてくるお話の全ては、お話でしかないのだ。
　

管理人コメント
　個人的には、イエスが提示したとされる証拠は、かなりましな部類に入ると思う。本文では触れられてないけどイエスは死人を生き返らせたともされてるし、イエスより怪しげな証拠で、自分は神だと主張した新興宗教の教祖は腐るほどいる。まあそもそも、イエスが本当にそんな奇跡を起こしたのかと言われれば、「聖書にはそう書いてあるけど…」としか答えようがないんだけど。