原文:
http://godisimaginary.com/i18.htm
天国についてキリスト教徒と話すと、天国と永遠の生命という考えが完全に空想であることを、明白な形で理解できる。誰と話すかによっても違うだろうが、会話はだいたいこのように進むだろう。
キリスト教徒:イエス様は死を乗り越え、彼を信じる全ての者に永遠の生命を与えたんだ。あなたの心を主イエスキリストに捧げれば、彼はあなたに永遠の生命をくれるんだよ。
無神論者:イエスはどんなふうに永遠の命をくれるんだい。
キリスト教徒:「取り残されて」という本を読んだことはあるかい。
無神論者:いや、ないけど。
キリスト教徒:読んだほうがいいよ。この本は2000万部も売れたんだ。なぜなら真実だからさ。この本は何が起きるかを正確に述べている。いつか、主イエスは弟子たちを呼び集め、彼らはまっすぐ天国に行くんだ。飛行機はパイロットが消えて墜落し、車は運転手が消えて電柱にぶつかる。これは聖書にはっきり書かれている。
無神論者:その人たちは完全に消えてしまうのかい。
キリスト教徒:そうだよ。残されるのは彼らの服と装飾品と補聴器だけだ。信じる者は直接天国に運ばれるんだ。
無神論者:彼らは裸で天国にいくんだね。
キリスト教徒:そうだよ。
無神論者:地球上には60億(訳注:2006年時点のことと思われる。世界人口増えすぎ)の人がいるよね。彼らはそれぞれ150ポンドぐらいの体重がある。神は一兆ポンドの人間の肉体を、地球から一瞬で持ち上げられると君は言いたいわけ。
キリスト教徒:そういうわけじゃないよ。天国に運ばれるのは信仰者だけだから。
無神論者:分かった。つまり5000億ポンドぐらいだね。
キリスト教徒:そうだよ。
無神論者:じゃあその5000億ポンド分の肉体はどこに行くわけ。
キリスト教徒:天国だよ。
無神論者:天国ねえ… どこにあるわけ。
キリスト教徒:別の次元だよ。もちろん神は天国に住んでる。
無神論者:全ての体が「天国」という「異次元の空間」にどうやって移動するの。体が空中に浮かんで行って、真空の宇宙空間を旅するわけ。
キリスト教徒:馬鹿なこと言わないでくれよ。彼らは脱物質化されたあと、天国で再物質化されるの。
無神論者:そしたら君は、5000億ポンドの人間の肉体が何らかの方法でこの宇宙から「脱物質化」され、それから「天国」と呼ばれる「異次元の空間」で「再物質化」されると言いたいんだね。そして「脱物質化」の過程でどういうわけか、人間の肉体と服や補聴器のような人工物がより分けられると。
キリスト教徒:そういうこと。
無神論者:それなら… 人工心臓弁と人工関節をつけてる人とかはどうなるわけ。そういうものも、体から外れて装飾品と一緒に残されるの。
キリスト教徒:そう。
無神論者:じゃあこのかわいそうな人はどうなるの。心臓は止まるし、足は骨盤から外れちゃうことになるんだけど。
キリスト教徒:この本はそういうことには触れてないけど… 神が治してくれるんじゃない。
無神論者:それから、癌やエイズで体が破壊された人はどうなるの。
キリスト教徒:神はそれも治してくれるんだよ。
無神論者:高齢で体にがたが来てる人は。
キリスト教徒:神が彼らに新しくて若くて美しい体を与えてくださるんだよ。
無神論者:肉体が死んで分解されてしまった人は。
キリスト教徒:そういう場合も、新しくて若くて美しい肉体を、神が与えてくださるの。
無神論者:じゃあ何でわざわざ、信仰者の肉体を天国に運ぶ必要があるわけ。全員に新しくて若くて美しい肉体を与えて、古い肉体は地上に置いておけばいいんじゃない。
キリスト教徒:聖書にはあなたの体が天国に運ばれると書いてあるんだ。「取り残されて」のここにもはっきり書いてある。それが神の意志なんだ。
無神論者:わかった。天国にはその肉体ないし死体が地球から「脱物質化」され、天国で「再物質化」された人間がいっぱいいるんだね。それから脱物質化・再物質化を受けた体はお役御免になって、新しくて若くて美しい肉体に取り替えられると。
キリスト教徒:そのとおり。主イエスキリストの力が理解できたようだね。
無神論者:それからどうなるの。
キリスト教徒:信仰者は全員、天国で平和と調和と喜びに満ちた生活を永遠に送るんだ。
無神論者:天国ってどういう場所なの。
キリスト教徒:そこでは死んだ友人や家族と再会できる。まず祖先に最初に会うことになるね。
無神論者:本当。
キリスト教徒:もちろん。
無神論者:ジョージ・ワシントンとかベンジャミン・フランクリンにも会えるわけ。
キリスト教徒:誰もがそこにいるよ。歴史上の全ての人に会えるんだ。そして神やイエスに会うこともできる。僕はイエス様に会うのが待ちきれないよ。
無神論者:それは面白そうだね。他には。
キリスト教徒:そうだね。道路は黄金で舗装されている。聖書にそう書いてあるんだ。そして全員が大きな家に住める。そして何でも好きなものを食べることができて、太ることもない。そして本当に、自分が望むどんなことでもできるんだ。みんな天国では幸せなんだ。
まあこんな感じで続く。
このような会話を聞くと、私たち全員にとってあることが明らかになる。天国は空想、完全な空想なのだ。
キリスト教徒と天国について話し、天国はどんな場所で、どうやってそこに行けばいいのか質問してみよう。この考えの不合理性を二つの点で感じることができるはずだ。
・上の会話に見られるようなすぐ分かる不合理性。「異次元の空間」、「物質化の過程」などの完全に空想的な概念が新しくでっち上げられたことで、妄想的な概念がどのようなものかについて、知ることができる。
・キリスト教徒を二人連れてきてそれぞれの天国についての考えを比較すると、不合理性が存在することがわかる。人によって天国の内容が違うのだ。ある人にとっての天国は、ハープと雲と光輪を含んでいる。他の人にとっては、天国とは一緒にパーティーを開ける処女がいるところだ。ある人によると、「取り残されて」の本にあるように現実世界の肉体が天国に運ばれる。他の人によると、「魂」が体から浮かび上がって聖ペテロのところに行くことになっている。まだまだあるが、つまり人々は、そもそも天国というのが完全に空想の場所であるため、自分が好む場所をでっち上げているのだ。
天国は人間の想像力が生み出したおとぎ話であり、おとぎ話の内容は人それぞれなのだ。
私たちは自分たちが「魂」を持つと想像し、「永遠の生命」という概念を考案し、「天国」と呼ばれる、黄金の道、太らない食べ物、いっしょに浮かれ騒ぐ処女、などの思いつく限りのものがある場所を夢見たのだ。キリスト教徒は天国について真剣に考え、夢想を繰り返した結果、それが現実に存在すると信じるようになってしまったのだ。
夢想はどれだけ奇妙なものになりえるだろう。カイロに行って大ピラミッドを見てみよう。ピラミッドは現在でも、人間が作った最も巨大な物体の一つだ。それからミイラ作りの過程、解体された小舟、聖なる画などもある。これらの全てはファラオが死後の生を得るために作られた。私たちは今日それを見て、そんなことは完全な時間の無駄遣いだったとはっきり言うことができる。死後の生についてのエジプト人の考えは、夢想だったのだ。
まったく同じように、キリスト教徒の天国についての考えも夢想に過ぎない。天国は神と同じく、完全に空想なのだ。