原文:
http://darwinawards.com/darwin/darwin1999-51.html
(1999年11月 シンガポール)
バスが興奮した子供でいっぱいになっていれば、誰だって気が狂いそうになるものだ。この話の主人公であるバス運転手の行動は、甲高い声を出す子供の群れのそばにいたことによるのかも知れない。
41歳のスーは、上海サファリパークへの遠足のために雇われた、13人の運転手の一人だった。彼が運転するバスは、トラの柵の前でいきなり故障してしまった。サファリパークに来た児童でいっぱいの車内が、これによってどんな騒ぎになったかは想像できるだろう。言うまでもないが、車外に出ることは安全のために禁止されていた。
このような故障がパニックの原因となる状況は容易に想像できる。例えば薄っぺらい布で外界から仕切られているだけのコンバーティブルで、サファリパークに忍び込んだ挙句、レアステーキに舌なめずりするトラの前で車が止まったのなら、車の中で待ち続けるというのはよい選択肢とは思えないだろう。しかし子供たちが乗ったこのバスには、トラが侵入してくる差し迫った危険はなかった。スーには助けがすぐ来ることが分かっていたはずだ。
しかし子供たちのどよめきを浴びた彼は、車内で待つ代わりにバスを出て、引き綱を結びなおそうとした。公園の管理者は致命的な事故を目撃した。子供たちはトラが運転手に襲い掛かるのを恐怖の面持ちで見ていた。彼らの叫び声に気づいた訓練士がトラを犠牲者から引き離したが、スーを救うには遅すぎた。彼は首を咬まれたことにより死亡した。
一つの慰めとして、彼の死は子供たちに愚かな行動の危険に関する教訓となっただろう。