原文:
http://americanfolklore.net/folklore/2011/01/wheres_my_liver.html
「よそ見せずに真っ直ぐ店まで行くんだよ」、トミーの母は厳格な口調で言って金を渡した。「父さんの会社の上司が今夜夕食に来ることになってて、レバーの料理をご馳走することになってるんだ。いい印象を与えとかなきゃ駄目だから、一番いいレバーを買ってくるんだよ」。
「分かったよ、ママ」、トミーは不機嫌な口調で答えると、自転車が置いてあるガレージに向かった。少し前に、成績表のことでひどく叱られていたのだった。道に漕ぎ出してしばらくしたとき、友人のチャドの声が聞こえた。「よお、トミー」、チャドは言った。「公園で野球することになったんだけど、ピッチャーが足りないんだ。来てくれよ。」
その瞬間、トミーは用事のことなどすっかり忘れ、公園に向かった。トミーは大活躍したが、試合が終わるころには辺りは暗くなりかけていた。そしてトミーは用事を思い出した。「レバーを買うように頼まれてたんだった!」。だが地元の店は全て閉まっていた。「ママに殺されちゃうよ」、トミーは真っ青になりながらつぶやいた。「あの成績表、さらに今回のこれじゃあ」。
トミーは執行を待つ死刑囚のような心境で家に向かったが、帰り道にある墓地を見たとき、ある考えが浮かんだ。それは恐ろしい考えだったが、少なくとも手ぶらで戻るよりはましなように思われた。墓には2~3日前に死んだ大叔父が埋まっているはずだ。あの死体から肝臓を切り取ったらどうだろう。どうせ死んだ人間には必要ないのだし。
トミーはこっそり家に戻るとシャベルをもちだし、墓地に戻って大叔父の墓を暴き始めた。
その夜、トミーの母はおいしいレバー料理を作って上司に振る舞い、満足した上司は夜遅くになってから帰っていった。
トミーは難局を切り抜けたことに安堵して部屋に戻った。だがベッドに横になった瞬間、確かな声が聞こえてきた。それは「私の肝臓はどこだ?」と聞こえた。
そのしわがれた低い声は階段の下から聞こえた。トミーは布団をかぶって震えながら、鈍い足音が階段を上ってくるのを聞いていた。
足音はだんだん近づいてきて、ついにトミーの部屋の前まで来た。「私の肝臓はどこだ?」、あの恐ろしい声がまた響いた。
「あっちに行け。あっちに行け。」、トミーは震えながら何度もつぶやいた。声はもう一度聞こえてきた。「私の肝臓はどこだ? 誰が持っていったんだ?」
トミーは恐怖のあまり、突然大胆な行動に打って出た。布団を跳ね上げると目の前にいる大叔父の白いしなびた顔に向かって、「お前の肝臓なら食われちまったよ」と叫んだのだ。
「ああ、お前がやったのは分かってるよ。トミー」、大叔父はそう言うと、目の前で震えている少年に向かって腕を伸ばした。トミーは絶叫した。
次の朝、両親はトミーがベッドの上で死んでいるのを発見した。死体からは肝臓が抜き取られていた。