原文：http://americanfolklore.net/folklore/2010/08/arkansas_traveler.html

　ある秋の雨の日、一人の旅人がArkansasの山で迷子になっていた。彼とその馬は疲れて、腹を空かせていた。夜が近くなったころ、彼は山小屋を発見した。そこには人が住んでいて、バイオリンで同じ曲を弾き続けていた。

　旅人は住人に食べ物と水を分けてくれるよう頼んだ。住人は「家からモノを持っていくな」と言った。

　そこで旅人がほかに山小屋はないかと聞くと、そんなものはないという答えが返ってきた。

　旅人がいらいらしながら、ここに泊まってもいいか聞くと「雨漏りした場所でいいならそこで寝ろ、俺と女房は雨漏りしていない場所で寝る」と住人は答えた。

　「なぜ雨漏りを直さないのですか」と旅人は聞いた。

　「雨の日に屋根の修理は出来ないだろう」と住人は答えた。

　その間中、住人は同じ曲を弾き続けていた。

　旅人はいらいらして、なぜその曲を引き続けるのかと言った。

　「弦を調節することができないんだ」というのが答えだった。

　旅人はバイオリンを手に取ると、弦を調整した。

　「あんた」、住人は言った。「まあ椅子に座れよ。パンとウイスキーはそこにある。馬はあそこにつないどくといい。それから今夜は雨漏りしていないところで寝ろよ」。
（終わり）

管理人
　経済学的に言うと旅人が弦の調整というサービスを提供して、それと引き換えに住人からパンとウイスキー及び寝床を受け取ったというところでしょうか。厳密に言うと都市伝説ではないという気もしますが、不思議な魅力がある話です。ただ雨漏りについても何か落ちがあると良かったですね。