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都市伝説 パン屋の1ダース

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都市伝説 パン屋の1ダース

えーと管理人です。ある意味十月にやるよりずっと季節外れですが、クリスマスネタのアメリカの民話を一つ。都市伝説ともちょっと違う感じの話ですが、都市伝説を紹介するサイトに載っていたので、一応都市伝説のカテゴリーで紹介します。
 
原文:http://americanfolklore.net/folklore/2008/11/a_bakers_dozen.html
 その頃、私はパン屋として結構成功していた。私には収入の良い仕事があり、気立ての良い妻がいて、たくさんの子供がいた。私は幸せ者だった。しかしある年災厄が訪れた。醜い老女が閉店の数分前に私の店に入ってくると、「クッキーを1ダースちょうだい」と言ったのだ。老女は私の目の前のトレーにある聖ニコラウスクッキーを指さしていた。そこで私はクッキーを12個袋に入れた。


 老女はクッキーを見て目を細め「12個だけかい」と言った。私は何を要求されているかを即座に理解した。私の住む町には、客におまけを1つ付けてやるパン屋が何軒かあったのだ。しかし私はそんな習慣に染まるのはまっぴらだった。ただでクッキーをひとつくれてやるとは、一体どういう神経なのだろうか。

「1ダースと頼んだんだよ。なんで12個しかくれないんだい」と老女が言った。
「1ダースは12個ですよ。ご婦人。12個渡しましたよね」と私は答えた。
「1ダースと言ったんだ。12個じゃない」と老女は言った。

 私は腹が立ってきた。客には払った金額分の商品を渡すのが私の主義だ。何かをただでくれてやるというのは、性に合っていない。

「私も家族を養わなければなりませんので。」私は形式張った口調で言った。「クッキーをただであげてしまったら、家族が食べていけなくなります。1ダースは12個です。13個ではありません。買うか出て行くかどちらかにしてください。」
「分かったよ」老女はそう言うと、何も買わずに出て行った。

 この時から、私の運勢は暗転し始めた。次の日にはケーキが盗まれ、しかも泥棒は捕まらなかった。さらにパン生地がうまく膨らまなくなった。一週間の間、パン生地は膨らまずにかまどの下に落下した。次の一週間は膨らみすぎで煙突に吸い込まれてしまった。私はパンの塊が屋根まで飛んで行ったのを見てぞっとした。このときにやっと、あの老女に呪いをかけられたことに気づいた。

 次の週、あの老女はまた店に現れて「パン屋の1ダース」分のクッキーを頼んだ。おびえもあったが、それより怒りの方が強かった。私にあれだけの不幸をもたらしておきながら、どの面下げて私の店に来たのだろう。私は老女に出て行けと言った。

 状況はさらに悪くなった。パンは腐り、ドーナツは不味くなった。ケーキはかまどから出した途端に崩壊し、クッキーは風味がなくなった。私のパン屋は味が落ちたという噂が瞬く間に広まり、客はどんどん減っていった。私は怒り、強情になっていた。魔女などに負けるものか。あの老女が3度目に店に来たとき、私は地獄に落ちろと言ってドアを閉めた。

 次の日から、何を焼いても黒焦げか生焼けかだった。何年も来てくれていた常連でさえ、私の店を見放した。最後には私が焼くパンを食べるのは私と家族だけになり、金はどんどんなくなっていった。私は絶望し、教会に行って聖ニコラウスに祈った。聖ニコラウスは商売人の守護聖人なので、あの魔女にかけられた呪いを解除してくれるかもしれないと思ったのだ。

 「聖ニコラウスよ。どうか相談に乗ってください。邪悪な魔女のせいで私の家族はひどい状況にあり、あなたの助言が必要なのです」。祈り終えると、私は重い足取りで誰もいない店に戻った。何をすれば良いのだろう。

 私は聖ニコラウスクッキーの生地をこねると、オーブンに放り込んで今度はどんな形で台無しになるだろうかと思いながら見ていた。シナモンが多すぎるのか。少なすぎるのか。焦げるか。生焼けか。驚いたことに、クッキーのできは完璧だった。私は注意深く砂糖をかけると、ここ数週間で初めてうまく焼けた商品をトレイに並べ、窓から見える位置に置いた。私が顔を上げると、そこには聖ニコラウスが立っていた。

 私はすぐにその人物が商売人、船乗り、子供の守護聖人である聖ニコラウスだと分かった。彼はさっきクッキーにのせた人形のように、黄金の杖や赤いローブや司教冠を身につけているわけではなかったが、白いひげと優しげな目はそっくりだった。足が震えて立てそうになかったので、私は座り込んで聖ニコラウスを見上げた。彼は手を伸ばせば触れられるほど近くにいて、悲しそうな目で私を見ていた。私は泣きそうになった。

 聖ニコラウスは穏やかな声で言った。「私は生涯にわたって、病に苦しむ者や貧しい中で子供を育てている者に援助を与えてきた。我々の主が仰ったように。神は我々に惜しみなく慈悲を注がれるのだから、我々も周りの者に対して気前よくあるべきなのだ。」

 私は彼の目をまともに見ることができず、手で顔を覆った。

 「クッキー1つというのはそんなに高くつくものなのかね。神が私たちに示される慈悲と比べて」と聖ニコラウスは優しく聞いた。

 そして彼は去って行った。直後に、店のドアが開いて1人の客が店に入ってきた。私は見なくてもそれが誰か分かった。私は聖ニコラウスクッキーを13個包むと、あの老女に渡した。

 老女はそっけなく言った。「今日から1ダースは13になったようだね」。

 そしてこの日から、私は今までよりずっと気前が良くなった。そして「パン屋の1ダース」は私にとって13を意味する言葉になった。
(終わり)


 「パン屋の1ダース」は13を表す英語の慣用句です。13世紀のイギリスでできた言葉ですが、実際の由来はこの伝説より殺伐とした理由によるものです。この時代のイギリスではパンの重さをごまかして売ったパン屋には厳罰が科せられていたのですが、パンの重さというのは一個ずつ変わるので、何かの拍子にこの法律に引っかかる可能性がありました。そのためパン屋は自衛策として、大量に注文する客にはおまけをつけていたのです。

 ところで紹介した伝説ですが、実は管理人は大嫌いです。老女の行動はモンスタークレイマーとしか思えませんし、最後の下りは偽善臭が甚だしすぎて訳していて不愉快になりました。しかし原文に寄せられたコメントを見ると「すばらしい話だ」とか「寛大さについて教えられた。子供たちにも聞かせたい」とか… そんなのばっかりです。アメリカ人も大概ですね。唯一まともなコメントとして、こんなのがありました。「いい話だけど、聖ニコラウスは老女の方にも寛大さを教えた方がいいんじゃない」。


 
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